P17-06 : メタゲノム手法と培養法:酵素遺伝子スクリーニングのための手法間の比較解析
Posted On 20 10月 2014
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1産総研・生物プロセス
【目的】
産業用酵素の供給源の多くは微生物であるが、環境中の微生物の大部分は培養困難という従来の微生物スクリーニング法の限界を受け、遺伝子資源探索にメタゲノム手法が導入された。以降、メタゲノム手法の優位性を示す多数の報告があるものの、その多くは16S rRNA遺伝子配列に基づく系統学的な解析であった。そこで本研究においては、実際に活性を保有する酵素遺伝子を機能スクリーニングにより取得し、環境中からの遺伝子資源取得という目的において、メタゲノム手法は微生物培養法を凌駕するのか(しないのか)、について実験結果に基づいた検証を行うものである。
【方法・結果】
今回標的とする酵素は、微生物による芳香環分解における鍵酵素であるExtradiol dioxygenase(EDO)である。我々は、すでにメタゲノム手法により43のEDO遺伝子の同定に成功しており、その半数以上が、既存のEDOファミリーには属さない新規な酵素群であることを報告している。そこで本研究においては、一転して、古典的集積培養法に基づいてEDO遺伝子を取得した。
はじめにメタゲノムスクリーニングを行った同一の環境試料から、フェノールを唯一の炭素源として生育する88の分解菌を単離した。このうち優占種となる5株を選別し、それぞれのゲノムからEDO遺伝子のクローニングに成功した。さらに、両手法で得られたEDO酵素の活性評価および遺伝子の定量を行い、メタゲノム法・培養法それぞれの手法の長所と短所について考察を行った。
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