P17-02 : 海底下微生物の統合的生態・機能解析を実現する基盤方法論の確立とその応用
Posted On 20 10月 2014
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1(株)マリン・ワーク・ジャパン, 2海洋研究開発機構・高知コア研
地球表面積の7割を占める海の下に広がる海底下生命圏には、海底下1.9km以上にわたり膨大な数の微生物が存在することや、外洋の超貧栄養環境でも微生物細胞が存在していることが分かっている。16S rRNA遺伝子配列解析によれば、多くの未培養アーキア、バクテリア系統群の存在が明らかだが、それらの代謝機能や極限環境における生存戦略を含め、実際に海底下で進行する生命活動には未解明の部分が多い。
このような未培養系統微生物群の生存実態、代謝様式・速度について系統的に解析を進めるため、我々は様々な基盤技術を構築してきた。最も基礎的なものとしては非生物有機、無機粒子が混在する中から微生物細胞のみを選択的に検出する技術の開発である。更に密度勾配を利用した細胞分離技術とを組み合わせることで、海底下地層試料から微生物細胞のみを取り出し、NanoSIMSによる代謝活性の定量的な解析が可能となった。また、海底下微生物細胞でしばしば問題となる、難DNA抽出性細胞の効率的溶菌による微生物群集構造の実態把握なども実現した。
本発表ではそれらを総括し、海底下生命圏試料に限らず、環境試料中に存在する微生物細胞の生態・機能解析を行うに当たって取るべき分析・技術フロー、非生物物質が混在する環境試料から、培養が困難であっても狙った微生物を特異的に濃縮するためのツール、基盤となる分析技術について紹介し、それぞれがどのような利点を持ち、どのような場合に使用可能かについて、海底下生命圏で実施した事例を基に紹介し、議論を深めたい。
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