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P16-24 : 従属栄養性鉄酸化細菌の集積培養
Posted On 20 10月 2014
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1名城大・農
バイオリーチングは,鉄酸化細菌を始め金属の酸化還元能を有する微生物を利用する。これまで研究されてきた鉄酸化細菌は,好酸性であり空気酸化との競合に依存しない中性環境で増殖する鉄酸化細菌の単離例は少ない。本講演では,中性環境で乳酸鉄を基質とする従属栄養性鉄酸化細菌の集積培養について報告する。 鉄酸化細菌の接種源として犬山市で採取した微生物マットを用いた。フィルター滅菌した基本培地(10 mM HEPES, 6.3 mM NaH2PO4 および 0.05 mM Na2HPO4・12H2O)に微生物マット採取地の環境水を等量加え,微生物マット1 mLを接種し,試験管で振とう培養した(27℃,100 rpm)。鉄酸化細菌の増殖基質には,乳酸鉄(C6H10FeO6)を用いた。三価鉄沈殿が認められた培養液を10% (v/v)ずつ継代し集積培養を行った。増殖に伴う二価鉄の酸化は,o-フェナントロリン法で定量し,乳酸は電気伝導度計付きHPLCで定量した。また,集積過程の鉄酸化に関わる細菌種の同定および集積物中の細菌群集は,16S rDNAに基づく変性剤濃度勾配ゲル電気泳動法(DGGE)により解析した。 乳酸鉄(II)を用いた集積培養により乳酸を資化するのと同時に二価鉄を酸化する集積培養物を得た。培養2週間における二価鉄の酸化率は2.27 mM/日で,この時の乳酸は完全に資化された。集積培養物の4回の継代により乳酸の資化に伴う二価鉄の酸化率は,3.93 mM/日となった。集積培養物のDGGE解析から,鉄酸化に関わる細菌は,Rubrivivax属に近縁であることが明らかとなった。
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