P16-19 : Sphingobium sp. SYK-6株におけるアセトバニロン代謝系
Posted On 20 10月 2014
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1長岡技科大・生物, 2Department of Environmental Engineering and Green Technology, Malaysia-Japan International Institute of Technology, Universiti Teknologi Malaysia, 3日大・生資科
β-aryl ether はリグニン中の約50-70%を占める主要な分子間結合である。Sphingobium sp. SYK-6株によりβ-aryl ether二量体化合物は、エーテル開裂等を経てvanilloyl acetic acid (VAA) に変換され、酵素非依存的な反応によりacetovanillone (AV) を生成する。本研究ではAV代謝に関わる酵素遺伝子の単離と解析を行い、その代謝経路を明らかにすることを目的とした。まず始めにAVでの培養時に蓄積する代謝中間体を同定した。その結果、興味深いことにVAAの生成が観察された。この結果は、AVの側鎖がカルボシキル化を受けて再度VAAに変換されることを示唆するものと考えられた。DNAマイクロアレイ解析によってAV培養時に特異的に誘導される遺伝子を調べた結果、ビオチン要求性カルボキシラーゼと相同性を示す遺伝子を含む6つの遺伝子 (acvABCDEFと命名) が顕著に誘導されていることが示された。これらに加えてSYK-6株のferulate (FA) 代謝においてFAにCoAを付加するFerAとFA-CoAエステルからアセチルCoAを脱離しバニリンに変換するFerBの両遺伝子が同様に誘導されていた。以上の結果及びVAAとFAの構造的類似性から、VAAの分解にferAとferBが関与することが予想された。そこでこれら遺伝子の破壊株を作製し、AVでの生育能を調べたところ、すべての破壊株でAV生育能の欠損または遅延が見られた。以上より、AVの代謝にはacvABCDEFとferA、ferBが関与することが強く示唆された。
keywords:lignin,β-aryl ether, acetovanillone,Sphingobium,carboxylase