P16-17 : Sphingobium sp. SYK-6株におけるバニリン酸・シリンガ酸代謝系遺伝子の転写制御機構
Posted On 20 10月 2014
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1長岡技科大・生物
SYK-6株は、様々なリグニン由来化合物をバニリン酸 (VA)又はシリンガ酸 (SA)を経由して代謝する。VAはLigMにより脱メチルを受けプロトカテク酸 (PCA)へと変換され、PCA 4,5-開裂経路によって代謝される。一方、SAはDesAにより脱メチルを受け3-O-メチルガリック酸 (3MGA)に変換された後、主にLigMによる脱メチルとDesBによる環開裂を受け、PCA 4,5-開裂経路に合流して代謝される。本研究では、VA及びSA代謝系遺伝子、ligM、desA及びdesBの転写制御機構の解明を目的とした。
これまでにVA/SA代謝系遺伝子の転写は、MarR型転写制御因子と相同性を示すDesRによって負に制御されることが示されている。本研究では、初めにVA/SA代謝系遺伝子の誘導物質を同定するため、VA/SA変換能欠損株のligM、desA、desBの転写誘導性を調べた。その結果、VA、SA又は3MGA存在下におけるVA/SA変換能欠損株の各遺伝子の転写量が野生株と同等に増大したことから、これら化合物が誘導物質として機能することが示唆された。ゲルシフト解析によって各遺伝子プロモーター領域におけるDesR結合領域の同定を行った結果、PligM、PdesB領域では、それぞれに見出されたinverted repeat配列にDesRが結合することが示唆された。一方、PdesA領域へのDesRの結合は見られなかった。PligM、PdesB領域において、DesRのDNA結合能に対する誘導物質の影響を調べた結果、VAがDesRのエフェクターとして機能することが示された。
keywords:lignin,vanillate,syringate,Sphingobium,MarR-type regulator