P16-08 : プラスミドpCAR1にコードされる核様体タンパク質が宿主に及ぼす影響の解析
Posted On 20 10月 2014
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1東大・生工研セ, 2富山県立大・生工研セ, 3東大院・農学生命・アグリバイオインフォマティクス, 4静岡大・院・工・化学バイオ工学, 5帝京大・理工・バイオサイエンス
細菌の核様体タンパク質 (NAPs) はDNA構造を変化させることで数多くの遺伝子の転写制御を行う.NAPsはプラスミドにもコードされており,これらは宿主の転写制御ネットワークに組み込まれることで宿主染色体の転写をも変化させる.本研究では3種のNAPs (Pmr, Pnd, Phu) をコードするプラスミドpCAR1と,pCAR1の宿主であるPseudomonas putida KT2440株をモデルとして,プラスミドにコードされるNAPsの機能解析を行った.まず3種の単独破壊株 (Δpmr, Δpnd, Δphu) 及び3種の二重破壊株 (ΔpmrΔpnd, ΔpmrΔphu, ΔpndΔphu) の表現型を調べたところ,ΔpmrΔpndとΔpmrΔphuでは野生型株と比べてpCAR1の安定性が顕著に低下しており,接合伝達頻度も1,000分の1以下まで低下していた.また過去の研究においてpCAR1保持株では各種代謝活性が低下していたが,上述の各破壊株ではコハク酸やα-ケトグルタル酸など一部の化合物に対する代謝活性の回復が見られたことから,pCAR1の保持に伴う代謝活性の変化にNAPsが関与する可能性が示唆された.さらに単独破壊株のトランスクリプトーム解析において野生型株と比べて転写変動した遺伝子を調べたところ,ΔpmrとΔpndでは共通して転写変動した遺伝子が1割程度と少ないのに対し,Δphuでは8割以上がΔpmrまたはΔpndと共通していたことから,PmrとPndが独自のレギュロンを持つ一方でPhuは両者の転写制御を補助する機能を持つと考えられた.
keywords:Pseudomonas,plasmid,plasmid stability,conjugation,microbial metabolism