P15-08 : 酢酸資化性単槽型微生物燃料電池内に局在する微生物群集の比較メタゲノム解析
Posted On 20 10月 2014
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1東京薬大・生命科学, 2J. Craig Venter Institute, 3新潟大・院・自然科学
【背景と目的】膜型空気正極を使用した単槽型微生物燃料電池 (SC-MFC) において,微生物は負極表面,電解質液,および正極膜内面のバイオフィルム中に存在する。これまでSC-MFC内の微生物群集は主に負極付着菌を対象に解析されてきたが,電解質溶液および正極バイオフィルム内の微生物群集についてはあまり着目されてこなかった。本研究では酢酸を基質として運転したSC-MFCの負極表面,電解質液,正極表面に存在する微生物群集についてメタゲノム解析を行い,各サンプルの菌叢と代謝系遺伝子の違いを比較した。【方法と結果】グラファイトフェルト負極と空気正極から構成されるSC-MFCに10 mM酢酸を含む培地を加えて約3ヶ月間運転した後,各部位に局在する菌体からDNAを抽出し,Illumina HiSeqによるshotgun sequencingを行った。各サンプルから得られた約5 GBのreadをアセンブルしてcontigを作成後,各contigに対するreadの重複率と4連続塩基出現頻度に基づく系統推定 (BLSOM) を指標にしてbin genomeの構築を行った。その結果,負極および電解質液サンプルでは50%以上のreadがGeobacter属を含むDeltaproteobacteria綱に由来していたが,両サンプルでは優占化するGeobacter近縁種のパターンが異なることが示された。一方,正極膜上にはBacteroidetes門のPaludibacter近縁種が最も多く存在していた。またKEGGによる遺伝子機能推定から,サンプル間でのエネルギー代謝系の違いが示唆された。
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