P15-07 : 酸性環境より分離した新規鉄酸化細菌のゲノム構造から推定される代謝様式
Posted On 20 10月 2014
Comment: Off
1秋田県大・生物資源・応用生物, 2秋田県大・生物資源・バイオテクノロジーセンター, 3秋田県大・生物資源・生物環境
鉱山の酸性排水や硫酸土壌、酸性温泉などの硫酸酸性環境には一般的に好酸性鉄酸化細菌が生息し、環境での鉄の移動に関与している。現在までにProteobacteria に属するAcidithiobacillus ferrooxidansがよく研究され、金属の生物精錬にも使用されている。その他にはNitrospira、Firmicutes、Actinobacteriaや Proteobacteriaに属するものが知られているが、実際に種として報告されているものは少数であるため、新規の鉄酸化細菌の分離を試みた。秋田県仙北市玉川温泉下流の渋黒川の堆積物から、集積培養によりBetaproteobacteriaに属する全く新しい鉄酸化細菌GJ-E10株を分離した。このGJ-E10株は酸性環境で生育できる化学合成無機栄養独立栄養菌である。16S rRNA遺伝子配列の解析より、Burkholderiales 目であるが既知の科や属には含まれない新規細菌であることが分かった。そこでゲノム構造の解析を試みた。三種の次世代シーケンサを使用し(PacBio RS II、Illumina HiSeq1000、Roche GS JR.)、それらのデータをアッセンブルしたところ、1つの環状Contigを得た。MiGap パイプラインより3093のCDS領域が検出された。また、RuBisCOを含むカルビンサイクルによる炭素固定能および、窒素固定能を持つことが推定された。なお、本研究は環境研究総合推進費補助金(3K133012、代表宮田直幸)の助成を受けて行った。
keywords:Burkholderiales,窒素固定菌,化学合成無機栄養独立栄養菌,Chemolithoautotroph,Proteobacteria