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P26-12 : 微生物の衣替え~生育環境の違いによるバイオフィルムマトリクスの変化~
Posted On 20 10月 2014
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1筑波大院・生命環境, 2Dept. Civil and Environ. Eng. Parsons Lab, Massachusetts Inst. Technol., 3, ,
土壌や水圏など実環境中の細菌の多くはバイオフィルム(BF)と呼ばれる集合体を形成して生息している。BFは菌体集団とその集団を覆う様な細胞外多糖や細胞外DNA、細胞外タンパク質から構成される。これらの細胞外マトリクスは物質表面との付着や菌体同士の結合、物質の拡散阻害など様々な機能をBFに付与し、高いストレス耐性にも関与していることが知られているが、BFにおける細胞外マトリクスの役割については未だ解明されていない部分が多い。
BFのモデル細菌である緑膿菌Pseudomonas aeruginosaは好気条件下ではマッシュルーム構造のBFを形成し、嫌気環境下ではメッシュ構造のBFを形成するという生育環境によるBF構造の変化が観察されている。BF構造は細胞外マトリクスと密接に関係する事から、本研究では好気環境と嫌気環境におけるBF中の細胞外マトリクスに着目し解析を行った。緑膿菌の細胞外多糖にはPSL、PEL、アルギン酸の3つが知られており、BF中におけるそれぞれの多糖の分布を観察したところ、PSLの分布に大きな差が見られた。さらに、細胞外DNAおよび細胞外タンパク質に関しても各分解剤の影響を解析したところ、特に嫌気環境下におけるBFで細胞外DNAがBF構造の維持に重要であることが観察された。以上から緑膿菌はそれぞれの環境に応じて細胞外マトリクスの分布や役割を変化させていることが予想された。現在はPSLの分布の変化によりどのように環境変化に適応しているか解析を行っている。
keywords:Biofilm,Pseudomonas,anaerobic,EPS,