P15-04 : ゲノム・メタゲノム中の潜在的機能評価システム”MAPLE”
Posted On 20 10月 2014
Comment: Off
1JAMSTEC・海底資源研究開発セ, 2(株)三菱総合研, 3京大・化学研・バイオインフォマティクスセンター
我々の研究グループでは、深海底泥や熱水流路などの極限環境に形成された様々な微生物生態系の持つ機能の解明を目的として、メタゲノム解析を行ってきた。しかし、これまでのメタゲノム解析は、16S rRNAや特定の遺伝子のみを用いて行う分類学的な多様性解析が主であり、微生物生態系全体の持つ機能やそれを担う微生物の特徴、生理・代謝機能の冗長性などはほとんど考慮されてこなかった。そこで我々は、様々な環境に形成された微生物生態系の機能的特徴を評価するためのシステム、Metabolic and Physiological Potential Evaluator (MAPLE)を開発し、そのプロトタイプをゲノムネットから公開した(http://www.genome.jp/tools/maple/)。MAPLEはパスウェイ、複合体、機能セット、特殊モジュールの4種類からなるKEGGモジュールをデータベースとして、それらモジュールを構成する遺伝子セットの充足率から生理・代謝機能を評価するシステムである。KEGGモジュールは、現在Carbon fixation, Nitrogen metabolismなど56の小機能カテゴリーに分類されており、それぞれのカテゴリーに属する個々の機能モジュールが定義されている。本MAPLEを用いることで、微生物コミュニティーが持つモジュールの充足率やその出現頻度などを可視化し、また環境間での生理・代謝機能やそれを担う微生物種の違いをハイライトすることが可能である。今回の発表では、本システムの概念と使用方法について詳細に報告する。
keywords:メタゲノム解析,MAPLEシステム,生理・代謝機能,,