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O24-02 : 抗菌材表面に形成されたバイオフィルム中に存在する細菌の群集構造解析と抗菌効果
Posted On 20 10月 2014
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1立命館大院・生命科学, 2立命館大・生命科学
抗菌材は細菌の増殖を抑制する。ところが、長期間使用すると、抗菌材表面にバイオフィルム(Biofilm;BF)が形成される。長期間の間に抗菌材表面にどのようなBFが形成されるのか、またそのBF中にはどのような細菌が存在しているのか、まだ明らかにされていない。そこで本研究では、長期間使用された抗菌材上に形成されたBF中に存在する菌の群集構造を解析することで、そのBFの特徴や、形成メカニズムを調べることを目的とした。
ポリスチレン樹脂(PS)、ポリプロピレン樹脂(PP)の抗菌材(ノバロンAG1100)と、それらのブランクを用意し、これらをシンクに設置した。約5年後に基質表面に形成されたBFを採取し、BFの湿重量、全菌数、生菌数を調べ、さらに16S rRNA遺伝子解析を行った。
BF中の湿重量(0.12~0.19 wet-g/cm2)、BF中の全菌数(1.1~2.2×109 cells/wet-g)、生菌率(14~26 %)には、抗菌材と非抗菌材とで大きな違いが見られなかった。これまでの研究で、抗菌材表面から離れるほど、また培地の栄養濃度が高いほど、抗菌効果は弱まることがわかっている。抗菌材表面にBFが一旦形成されると、その厚みや栄養物によって抗菌効果がなくなるため、抗菌材と非抗菌材とでBFの特徴に大きな違いが見られなかったのかもしれない。なお、BF中には抗菌材、非抗菌材に関わらず、NB培地で培養可能な菌の中では、Rhodococcus属類似菌が優占していた。Rhodococcus属は疎水性の細胞表面を持つ細菌であり、疎水性のPS、PPの表面に付着しやすかった可能性がある。
keywords:Antimicrobial surface,Silver ion,Bacterial community structure,,