P15-01 : 環境プラスミドが保持する多重型安定分配機構の解析
Posted On 20 10月 2014
Comment: Off
1茨城大・農
プラスミドは細胞内で染色体とは独立して複製し安定的に娘細胞へと分配される。これまでに報告されているプラスミド安定分配システムは二つに大別され、一つは二つのタンパク質をコードする遺伝子と一つのセントロメア領域から構成されるtrans–cis複合分配システム、もう一つはプラスミド上の非コードDNA領域のみに依存するcis分配システムである。 我々は、環境汚染物質分解能に優れたSphingobium amienseおよびSphingobium yanoikuyaeから、それぞれpAMI-1およびpYAN-1を分離同定した。プラスミドを持たないNovosphingobium capsulatumを宿主としたとき、pAMI-1ではStbという一つのタンパク質と一つのセントロメア領域のみが安定分配に関与することが示唆された。このタンパク質はpYAN-1でも高く保存されており、N. capsulatum内では同じ機構が安定分配に関与していることが推察された。また、大腸菌を宿主とした場合、pYAN-1上に存在する非コードDNA領域が大腸菌プラスミドpSC101の安定性に関与することが判明した。本研究で見出したpYAN-1 の非コードDNA配列はpSC101のpar siteとは全く相同性も見られず、また同部位へのDNA gyraseの結合も観察されなかった。以上のことから、pYAN-1は、スフィンゴモナス属細菌及び大腸菌内で機能しうる別個のプラスミド安定分配システムを保持していることが明らかになり、環境プラスミドが異なる宿主内でも維持しうるための多重型安定分配機構の存在が明らかになった。
keywords:プラスミド,安定分配,非コードDNA,,