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P14-10 : 難培養性アンモニア酸化細菌Nitrosomonas mobilisの分離培養と生理学的性質の解明
Posted On 20 10月 2014
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1早大・院・先進理工
【背景・目的】アンモニア酸化細菌(AOB)は、Betaproteobacteria綱またはGammaproteobacteria綱に属する化学合成無機独立栄養細菌であり、様々な環境中に広く生息している。中でも、Nitrosomonas mobilis系統は過去に分離培養されたものの、継代培養と保存の難しさから純菌株として現存せず、その性質は不明なままである。そこで本研究では、排水処理槽由来の硝化グラニュールからNitrosomonas mobilis系統の純菌株を獲得し、生理学的性質の解明を目的とした。【方法】硝化グラニュールを超音波破砕し、セルソーターでAOBが形成するマイクロコロニーのみを選択的に分取し、96ウェルプレートに分注して23⁰Cで3ヶ月間静置培養した。培地はアンモニア濃度50 mg-N L-1 の無機培地で、pHを7.5-7.8に保った。顕微鏡観察により菌体の増殖を確認した後、16S rRNA遺伝子とamoA遺伝子を標的としたシーケンス解析を行った。得られた純菌株について硝化活性試験で最適アンモニア濃度を算出し、電子顕微鏡(SEM・TEM)の観察で純菌株の形状や断面図を確認した。【結果・考察】amoA遺伝子と16S rRNA遺伝子を標的としたシーケンス解析により、Nitrosomonas mobilis系統に属する新規なアンモニア酸化細菌を獲得することに成功した。また硝化活性試験を行った結果、最適アンモニア濃度は200 mg-N L-1と算出された。さらに電子顕微鏡の観察結果から、培養条件に応じて形態変化や凝集性の有無を引き起こす様子が確認された。
keywords:Nitrification,Isolation,Cell sorter,Microcolony,AOB