P13-16 : UASB反応槽内の嫌気的硫黄酸化に関与する微生物群の解析
Posted On 20 10月 2014
Comment: Off
1長岡技大
【目的】都市下水を処理する嫌気性上昇流汚泥床 (UASB) 反応槽内において、流入下水に含まれる硫酸塩が還元された後、再び反応層上部で再酸化される現象 (嫌気的硫黄酸化) が確認された。本研究では、この嫌気的硫黄酸化反応を実験室内で再現し、UASB反応槽保持汚泥の16S rRNA/rDNA解析により本反応に関与する微生物群の推定を試みた。【方法及び結果】UASB反応槽 (高さ1.75m、有効容積13.7L、カラム内径0.10m) は、15℃の恒温室に設置し、嫌気的硫黄酸化反応が発生していた都市下水処理UASB汚泥を植種に用いた。水理学的滞留時間は8 hとし、炭素源として希釈した廃糖蜜、もしくは乳酸及びギ酸を用いた。硫黄源として硫酸塩または硫化ナトリウムを用い、本反応の再現実験を行った。供給基質のpHは、重炭酸塩を用いて調整した。16S rRNA/rDNAの解析にはMiSeq (Illumina) を用い、データ解析はQIIMEを使用した。炭素源に希釈した廃糖蜜、硫黄源に硫酸塩を用いた結果、反応槽下部で硫酸が還元され、生成した硫化物は反応槽上部で再酸化された。炭素源に乳酸及びギ酸、硫黄源に硫酸塩を用いた場合でも、本反応の再現が可能であった。しかしながら、硫黄源に硫化物を用いた場合では、本反応を再現することができなかった。UASB反応槽保持汚泥の16S rRNA/rDNA解析の結果、Desulfomicrobium属、Desulfobulbus属などの硫酸還元細菌がUASB反応槽上部で優占して検出されたことから、嫌気的硫黄酸化反応には硫酸還元細菌の存在が重要であることが示唆された。
keywords:嫌気的硫黄酸化,16S rRNA/DNA解析,,,