P13-13 : 比較解析から迫る亜硝酸酸化細菌Nitrospiraの生態学的ニッチ
Posted On 20 10月 2014
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1早大・院・先進理工, 2東農工大・院・工
【背景・目的】亜硝酸酸化細菌(Nitrite-Oxidizing Bacteria:NOB)は排水処理施設における生物学的窒素除去プロセスにおいて重要な反応を担っている。従来はNitrobacter属が活性汚泥中の代表的なNOBとして認識されていたが,近年,2系統のNitrospira属が代表的なNOBとして再認識されている。しかし,分離培養が困難であったため,Nitrospiraに関する知見は限られていた。本研究では,本研究室で獲得したNitrospiraの分離株(ND1株,NJ1株)を比較解析することで活性汚泥中のNOBの動態,生態学的ニッチを解明することを目的とした。【方法】各分離株を用いて温度,亜硝酸濃度,アンモニア濃度が亜硝酸酸化活性に与える影響をイオンクロマトグラフィーを用いて評価した。また,尿素を添加後,アンモニア濃度を測定することで各分離株の尿素分解能の有無を検討した。【結果・考察】最適温度はND1株,NJ1株ともに30℃付近であり,ND1株は10℃においても亜硝酸酸化活性を持つことが判明した。最適亜硝酸濃度はND1株,NJ1株ともに20mg-N/Lであり,顕著な差が見られなかった。しかし,尿素分解能とアンモニア阻害濃度に関しては顕著な差が見られた。NJ1株と比較してND1株は,高い尿素分解能を保持し,またアンモニアに対する感受性が高く,10mg-N/Lであっても顕著に阻害を受けることが判明した。以上のことから,ND1株はアンモニア酸化細菌と共存することで,アンモニアによる阻害から回避しつつ,アンモニア酸化細菌が生成する亜硝酸を利用していることが示唆された。
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