P13-12 : 基質対向拡散型培養装置によるN2O還元細菌集積系の細菌叢変遷とN2O還元活性
Posted On 20 10月 2014
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1東農工大・院, 2産総研
亜酸化窒素(N2O)は強力な温室効果ガス、21世紀最大のオゾン層破壊物質として知られている(IPCC(2011))。N2Oは土壌、水環境、そして排水処理施設から排出されており、その削減にN2OをN2に還元する細菌群が注目されている(Itakura et al(2012))。しかしN2O還元細菌群の生理生態は未解明な点が多く有用性は明らかになっていない。実環境でN2O還元に寄与している高活性な種の獲得に向けて、基質対向拡散型培養装置を開発し、単離の前段としてN2O還元細菌の選択的な集積を試みた。この装置は中空糸膜内部からN2Oガスを唯一の電子受容体として、膜外部から有機物を電子供与体として対抗拡散方式により連続的に供給することで、膜表面にバイオフィルムとしてN2O還元細菌を優占的に集積させるものである。活性汚泥を種汚泥とし、約6ヶ月の運転を行った。次世代シークエンサを用いて16SrRNAに基づく細菌群集構造解析を行った結果、連続運転前後の多様性H’と均一性Jは、2.45から1.16、0.348から0.206へそれぞれ減少し、細菌群の集積化が示唆された。綱レベルではBata-proteobacteriaが優占化しておりDechloromonas属が全体の35%を占める優占種であった。この集積サンプルから寒天培地により単離を試みたところDechloromonas, Azospira属に近縁な種を獲得し、N2O還元能を確認した。これらの属は寒天培地による単離が困難な脱窒細菌として報告されており(Nishizawa et al(2012))集積培養による単離効率の向上が示唆された。
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