P13-06 : ウシ・ルーメン微生物のセルラーゼおよびキシラナーゼ活性を利用したメタン発酵システムの開発
Posted On 20 10月 2014
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1東北大・院・農, 2JSPS, 3東大・院・農
【背景・目的】
植物性バイオマスをメタン発酵に供する場合、リグノセルロースの可溶化が律速段階となる。一方、と畜場廃棄物であるルーメン液(ウシ第一胃内容物)には、リグノセルロース分解微生物や酵素が含まれている。このことに注目し、ルーメン液を生物触媒として、前処理に用い、メタン生産量の向上を検討することにした。
【方法】
植物性バイオマスとしては、古紙およびナタネ栽培残さ(おもに茎葉部)を用いた。細切後、ルーメン液中で、嫌気条件下、37℃、6もしくは24時間前処理した。処理物をメタン発酵種汚泥と混合し、35℃でメタン発酵を行った。酵素活性は、Mshandete et al. (2005) の方法に準じて、測定した。
【結果・考察】
前処理により、古紙/ナタネは可溶化され、揮発性脂肪酸を生産した。処理物をメタン発酵に供したところ、対照区(前処理無し)に比べ、メタン生産量は古紙で2.6倍、ナタネで1.6倍向上した。メタン発酵の基質であるセルロースおよびキシロースの加水分解に寄与するエンド/エキソグルカナーゼおよびキシラナーゼ活性は、前処理において、最大でそれぞれ約30および約250 unit/Lであった。一方、メタン発酵(対照区および前処理区)において検出されたこれらの活性は、最大でそれぞれ約1および約50 unit/Lであった。すなわち、前処理における高い加水分解酵素活性が、基質の可溶化を促進し、メタン生産量の向上に寄与したことが示唆された。16S rDNAを標的としたPCR-DGGE解析の結果、Prevotella属が、前処理のキシラナーゼ活性に関与することが示唆された。
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