P12-06 : 非病原性Ralstonia solanacearumによるジャガイモ青枯病の発病抑制
Posted On 20 10月 2014
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1熊本県立大・院・環境共生, 2滋賀大・教育, 3熊本県立大・環境共生
青枯病は,ジャガイモ,ナス,トマトなど200種以上の作物を侵す土壌伝染性病害である.著者らは,ナスやトマトに青枯病菌の非病原性株(PC株)を前接種することで,青枯病の発病が抑制されることを明らかにしている.そこで,本研究では,PC株によるジャガイモ青枯病の発病抑制効果の検証および簡易検定法の検討を行った.ジャガイモ‘デジマ’の抉芽由来の3-5葉齢の苗(幼苗検定)および抉芽(抉芽検定)を供試した.接種菌として青枯病菌8266(野生株)と8266PC(PC株)を供試した.幼苗検定(実験1)では,苗を108 cfu・mL-1のPC株に30分浸漬後,野生株汚染土壌(105-106 cfu・gDW-1)および滅菌土壌に移植し,人工気象器内で14日間管理し病徴を調査した.その結果,PC株処理後,滅菌土壌に移植した個体で発病は認められず,汚染土壌に移植した個体で発病抑制効果が確認された.抉芽検定(実験2)では,幼苗検定と同様に抉芽をPC株に浸漬後,野生株汚染土壌および滅菌土壌に移植し,人工気象器内で21日間管理し病徴を調査した.その結果,PC株処理後,滅菌土壌に移植した個体で不出芽が多く,PC株の浸漬が出芽に影響を及ぼした.そこで,抉芽の出芽に影響を及ぼさないPC株の処理濃度を検討した結果(実験3),104 cfu・mL-1以下では影響を及ぼさなかった.本研究では,幼苗検定の結果より,PC株によるジャガイモ青枯病の発病抑制効果が実証された.また,抉芽検定において,出芽に影響しないPC株の処理濃度を明らかにすることができたことから,今後は,抉芽を用いた簡易検定法の確立を行う予定である.
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