O26-01 : 葉圏菌類の多様性に影響を及ぼす要因
Posted On 20 10月 2014
Comment: Off
1東大・秩父演習林, 2東大・田無演習林
葉圏菌類とは植物葉の表面や内部を生息場所としている真菌類の総称である。葉圏では得られる栄養分のほとんどを寄主となる植物に依存するため、これら葉圏菌類の多くは、寄主植物に対して共生や寄生といった様々な形で相互作用し、互いに密接な関係を築いていると考えられている。したがって、進化の過程で寄主植物の形態や物理化学的形質が変化した場合、系統的および機能的制約によって葉圏菌類の多様性が大きく変化する可能性がある。そこで本研究では、日本の冷温帯で多様化したカエデ属を対象とし、葉圏菌類の多様性、およびそれに影響を及ぼす要因の解明を目的とした。
2013年の8月下旬から10月上旬にかけて、東京大学秩父演習林内に自生するカエデ属20種を対象とした調査を行った。各種について10個体ずつをそれぞれ選木し、各個体から健全な葉を10枚ずつ採取した。採取した葉サンプルを個体ごとにプールし、寄主植物とその葉圏菌類のゲノムDNAを同時に抽出した。この抽出DNAを鋳型として、植物の系統解析に用いられる複数遺伝子座を対象とした塩基配列解析を行い、カエデ属の種間系統関係を推定した。また、真菌類のリボソームRNA遺伝子ITS1領域を対象として、Illumina MiSeqシステムによる次世代シーケンス解析を行い、葉圏菌類の多様性を解析した。さらに、各個体について葉の物理化学的形質を測定した。本講演では、これらのデータに基づいて、葉圏菌類の多様性に影響を及ぼす要因について論じる。
keywords:多様性,葉圏菌類,次世代シーケンサー,,