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O13-10 : 福島復興へのバイオ技術での貢献-放射能汚染バイオマスの減容化総合技術の開発-
Posted On 20 10月 2014
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1広大院・先端研, 2静大院・工, 3森林総研, 広島国際学院大・工
2011年の福島第一原子力発電所の事故は膨大な量の放射能汚染した樹木、草類、農作物を残した。これら放射能汚染した植物バイオマスは、除染の重要な対象である。今のところ、放射能汚染植物バイオマスを伐採・収集し、最終的には中間貯蔵地で保管する計画が立てられている。除染対象となる植物バイオマスの量は莫大なものであるので、保管する前に大幅に容積を減量することが必須となる。本研究では放射能汚染植物バイオマスの減量化技術としてメタン発酵に着目した。その理由は、1)メタン発酵は下水余剰汚泥や農産廃棄物などのバイオマスの減量化技術としてすでに確立されており実用化が容易である、2)低温(30~60℃)で処理が可能なので焼却処理で不安視される放射性Csの気化の問題を回避できる、3)処理産物は腐敗に対し耐性となり長期貯蔵に適する、ことが挙げられる。確かにメタン発酵は確立された技術であるが、そのまま放射能汚染植物バイオマスの減量化に適用することはできない。なぜなら、これまで放射能汚染したバイオマスをメタン発酵した実績はなく、その処理により放射性物質がどの画分にどれだけ移行するかについてのデータはまったくない。樹木を含む植物バイオマスのメタン発酵処理を加速するための前処理(湿式ミリング)、前処理後の固形画分をメタン発酵する乾式メタン発酵、液状画分をメタン発酵するUASB、さらにメタン発酵で生じる廃水から細菌を用いて放射性物質を除去する技術から成るシステムを構築し、その性能及びCsの分布を検討した。このシステムおよび、これまで得られた成果について紹介したい。
keywords:Fukushima Daiichi Nuclear disaster,radioactive contaminated biomass,anaerobic digestion,wet milling,biosorption of redioactive cesium