O28-03 : 酵母Pseudozyma antarcticaによるバイオエタノール蒸留廃液からのキシラナーゼ生産
Posted On 20 10月 2014
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1農環研
【背景と目的】草本系バイオマスからのエタノール生産では、発酵が難しい五炭糖(キシロース)の利用が課題である。また、蒸留過程では有機物濃度が高い廃液(バイエタ廃液)が大量に排出され、その処理費用がエタノール製造コストを増大させている。ところで最近我々は、担子菌系酵母P. antarcticaが、キシロースを資化する際に酵素キシラナーゼを菌体外に大量に分泌することを見出した。そこで本研究では、バイエタ廃液でP. antarcticaを培養することによって、環境負荷物質の低減化を図ると同時に、廃液中のキシロースを利用して有用物質であるキシラナーゼを生産することを目的に検討を行った。【方法と結果】バイエタ廃液は、稲ワラ糖化液由来のものを(株)Biomaterial in Tokyoに提供して頂いた。本廃液は、キシロースを6.7%含み、溶存態有機炭素(DOC)が52,000 mg/l、溶存態全リン(DTP)が600mg/lであり、通常の活性汚泥法で処理するためには、約200倍に希釈する必要があった。このバイエタ廃液の原液ではP. antarcticaが増殖出来なかったため、Jar fermentorを利用して、まず4倍希釈のバイエタ廃液でP. antarcticaを増殖させた後、原液のバイエタ廃液を少量ずつ連続的に培養槽に加える流加培養を試みた。その結果、72時間の培養で約0.3g/Lのキシラナーゼを得ることができ、廃液中のDOCとDTPを、それぞれ63%と87%除去することができた。本研究の一部は、農林水産業・食品産業科学研究推進事業で実施した。
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