P21-14 : 大村湾中央部堆積物における緑色硫黄細菌の集積培養
Posted On 20 10月 2014
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1長崎大学大学院水産・環境科学総合研究科, 2, 3, ,
【目的】大村湾は閉鎖性の強い内湾であるため毎年夏季に海底付近で貧酸素化が進行し、硫酸還元菌の働きによって硫化水素が蓄積しやすい。特に水深20m程度の中央部海底には微弱ながらも日光がとどくため、海底と直上水の境界付近では硫化物を還元剤とする嫌気性光合成細菌が生息している可能性がある。実際にFujita and Zenitani(1975)が大村湾における緑色硫黄細菌の分布について報告しているが、分子系統学的多様性や生態学的機能ついては未解明である。そのため、本研究では大村湾における緑色硫黄細菌の生態学的役割の解明をめざして、集積培養と分子系統解析を行った。 【方法】2013年8月~9月に大村湾中央及び縁辺部から採取した堆積物または直上水を、緑色硫黄細菌用の培地に接種して、約3カ月間20~25℃・50~150ルクスで培養し、培養液の色の変化が認められた8つの培養系に関してDAPI染色による全菌数計測と、16SrRNA遺伝子のクローン解析を行った。 【結果】8つの培養系全てにおいて108cell/ml以上の細菌数を示し、緑色硫黄細菌(Chlorobi)が検出された。Chlorobiクローンの中でProsthecochloris vibrioformisが最も多く検出された。また、直上水においても緑色硫黄細菌が集積された。大村湾縁辺部においてもP.vibrioformisは検出されたが、そのクローン出現割合は中央部で70%以上であったのに対して縁辺部は40%未満だった。
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