O28-01 : ヒ素高蓄積植物水耕栽培によるヒ素汚染水の浄化に必要な亜ヒ酸酸化微生物に関する研究
Posted On 20 10月 2014
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1東北学院大・工
ヒ素による水質汚染は、国内のみならず世界的にも大きな環境問題となっている。発表者らは、ヒ素によって汚染された地表水や地下水を浄化するためにヒ素を吸収し蓄積する能力の高い植物を水耕栽培方式で適用する水処理技術の開発を行ってきている。このために用いた特殊能力植物のモエジマシダは、ヒ素を根からヒ酸の形態で吸収し、植物体内で亜ヒ酸に還元して地上部に高濃度に蓄積する能力を持っている。地下水等の嫌気的環境にある水に含まれるヒ素の形態は、その大部分が亜ヒ酸(As(III))であることから、水耕によって植物に吸収される前に、ヒ酸(As(V))に酸化される必要がある。これまでの研究ではヒ素の酸化に水中の微生物が関与することが推定された。本研究では、水耕プロセスにおけるヒ素の酸化に微生物がどの程度寄与するか、および微生物によるヒ素酸化が水耕系の自由生活微生物によるものであるか、あるいは植物根との共生微生物によるものであるかを明らかにすることを目的とした。亜ヒ酸(500 ppb)を添加したシダ非植栽区と、シダ植栽水耕区に同濃度の亜ヒ酸を添加してヒ酸への酸化を調べたところ、シダ植栽区でのみ一週間のラグの後に急速なヒ素酸化が見られ、非植栽区では急速なヒ素酸化は見られなかった。さらに本研究では、一旦ヒ素酸化が進んだ水耕栽培水をポアーサイズ0.2μmのフィルターで濾過することで濾水画分と捕捉固形物画分を分離し、それぞれを用いて亜ヒ酸酸化実験、および細菌がもつ亜ヒ酸酸化酵素遺伝子であるaioAをターゲットとしたPCRおよび16S rRNA 遺伝子等をターゲットとしたFISHなども行ったので報告する。
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