PF-078:イプシロンプロテオバクテリアとファージの進化的相互作用の解明
1JAMSTEC
世界各地の深海底熱水活動域において、イプシロンプロテオバクテリア(綱)の化学合成独立栄養細菌は、重要な一次生産者として最も普遍的に優占している系統群である。熱水環境に生息するイプシロンプロテオバクテリアは、株レベルで多様なエネルギー代謝能を有しているが、その多様な代謝能は系統関係を反映しないことから、代謝遺伝子が水平伝播により獲得されてきたとの見方が有力である。また、同じ系統群に分類される胃癌原因菌Helicobacter pyloriなどの病原性細菌の祖先型であることから、多様な生息環境への適応能とともに病原性関連遺伝子の獲得機構の解明が期待される。我々はこのような細菌への多様性を付与する遺伝子伝播因子の一つとして、ウイルスに着目し、「イプシロンプロテオバクテリア-ウイルス」間の生物学的・進化学的相互関係の解明に向けた研究を行ってきた。本発表では、イプシロンプロテオバクテリアとそのファージのゲノム解析から見えてきた両者の共進化過程について紹介する。
keywords:ゲノム解析,深海熱水噴出域,イプシロンプロテオバクテリア,ファージ