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P26-7 : 残留塩素を除去した水道水中における管壁付着細菌の再増殖と群集構造の変化
Posted On 20 10月 2014
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1東大院・工・都市工
近年、水道水中の残留塩素濃度の低減化が進められており、給配水系での細菌再増殖ポテンシャルの増大が懸念されている。しかし、残留塩素が消失した水道水中の微生物生態については不明な点が多い。そこで本研究では、給配水管内の環境を模擬した装置であるアニュラーリアクターを用い、管壁に見たてたクーポン上の全菌数と細菌群集構造の変化を評価した。残留塩素を除去した水道水をアニュラーリアクターに22日間連続的に通水し、クーポン上の全菌数を測定すると共に、16S rRNA遺伝子のアンプリコンシーケンシングによる細菌群集構造解析を行った。通水1日後に全菌数は1.6×104 cells/cm2 まで増加し、3日後以降は105 cells/ cm2 程度を維持した。通水15日後まではGammaproteobacteriaが全体の98%を占めていたが、その後、Alphaproteobacteria及びBetaproteobacteriaの割合が増加した。 通水21日後にはAlphaproteobacteria、Betaproteobacteria、Gammaproteobacteriaの割合はそれぞれ53%、39%、5%となった。特に、Sphingomonadales(Alphaproteobacteria)、Rhizobiales(Alphaproteobacteria)Burkholderiales(Betaproteobacteria)の割合は、全体の38%、13%、36%を占めており、これらが、残留塩素が除去された水道水中の壁面において優占する細菌群である可能性が高いことが明らかになった。
keywords:残留塩素,水道水,再増殖,アニュラーリアクター,アンプリコンシーケンシング