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P26-5 : ビフェニル分解菌Comamonas testosteroni TK102株のバイオフィルム形成能の解析
Posted On 20 10月 2014
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1静大院・工・化学バイオ, 2静大・創造科技院
環境微生物の多くはバイオフィルム(BF)という集合体を形成し,大気や水質の浄化に寄与している.本研究では,ビフェニル分解菌Comamonas testosteroniTK102株のBF形成機構の理解を目的とした.TK102株のBF形成条件や機構を理解するためには,本菌株のゲノム情報が有用であると考え,次世代シークエンサーを用いて全ゲノム配列を決定した.また,TK102株がBFを形成するかどうか,96穴プレートとクリスタルバイオレット染色法を用いた静置条件試験で調べた.さらに,GFP遺伝子を挿入したTK102株を用い,流路内に形成したBFの形状を共焦点レーザー走査型顕微鏡で観察しCOMSTATで定量解析をした.その結果、TK102株の60,637,032 bp全ゲノム配列の決定に成功した.本ゲノム情報から,本菌株にはBF形成への関与が推定される,性繊毛をコードする遺伝子が他のComamonas属の類縁株よりも多いことが判明した.また,静置条件下,30℃で1/3の濃度に希釈したLB(1/3LB)液体培地内では,60時間後に最もBF量が多かった.流動条件下,30℃で1/3LB培地を用いた場合は,厚さ約20 µmの平板状BFを形成した.さらに,ビフェニルやその水酸化代謝物2-OHBPが,本菌株の細胞の形状を変化させるという知見から,各流路に2-OHBPを100 mg/Lの濃度で添加したところ,無添加の場合のBFと比べ,生細胞割合の増加が示唆された.現在,ビフェニルや2-OHBP以外の水酸化代謝物を添加し,BF中の生・死細胞割合の時系列観察,構造変化の観察・定量を行っている.
keywords:biofilm,biphenyl,genome,Comamonas testosteroni,