Previous Story
P25-50 : マルチリンガルへの道~Chromobacterium violaceumはどのように多様な言語(AHL)に応答するのか?~
Posted On 20 10月 2014
Comment: Off
1筑波大・生物資源, 2筑波大・院生命環境, 3宇都宮大・院工
微生物は集団中において、シグナル物質と呼ばれる低分子化合物を「言語」として細胞外に生産し、周囲の微生物が特異的なレセプターを介してそのシグナル物質を受け取る。すなわちその言語を「聞く」ことにより、お互いにコミュニケーションをとっている。最もよく知られているグラム陰性細菌のシグナル物質としてアシル化ホモセリンラクトン(AHL)がある。一般的に細菌は、このコミュニケーションにおいて、一つの言語に対し、一つのレセプターによりその言語を受容し聞いている。しかし、グラム陰性細菌であるChromobacterium violaceum ATCC12472株は、解明されているレセプターがCviR一種類であるのに対し、側鎖の長さが異なる様々なAHLに応答する。つまりC. violaceumは多言語を受容し、聞くことができる。しかしながら、どのようなシグナル伝達機構で様々な側鎖のAHLに応答するのか分かっていない。本研究では、C. violaceum ATCC12472株が様々なAHLに応答する機構を解析するために、ATCC12472株のシグナル物質レポーター株(VIR07株)の遺伝子をランダムに破壊したところ、シグナル物質の応答性に変化が見られる株が得られた。そこで、推定レセプター遺伝子を破壊した欠損株を2種類作製し、シグナル応答性を検証したところ、欠損株において、シグナル応答性の低下が観察された。これらの結果より、C. violaceum ATCC12472株において、CviRとは異なる、シグナル応答に関わる新たな遺伝子を同定した。
keywords:cell-cell communication,N-acyl-L-homoserine lactone,,,