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P25-49 : 微生物の細胞壁分解を利用した難培養微生物の培養化の検討
Posted On 20 10月 2014
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1琉球大・熱帯生物圏研究センター・分子生命科学研究施設, 2次世代天然物化学技術研究組合, 3沖縄県農業研究センター, ,
微生物の代謝様式は極めて多様であり、微生物が利用できない物はないと言われている。その一方で、環境中の99%の微生物が未培養であることが知られており、学術的、応用学的に培養株を利用できない事による限界が存在する事も事実である。それ故に、貴重な生物資源である環境微生物を十分に活用していくためには、革新的な培養化技術の開発が望まれている。実際の環境中では、常に多種多様な微生物が異種・同種間の相互作用を介して存在していると推察され、それが少なからず微生物の増殖に影響を与えていることが考えられる。一例として、たまたま増殖を開始した細胞が増殖を誘導する因子を産出し、休眠状態にある他の微生物を覚醒させることが明らかになってきた。この場合、細胞外に分泌された細胞壁分解活性を持つ休眠覚醒因子(Resuscitation promoting factor: Rpf)が休眠状態にある微生物の細胞壁を分解し、遊離した細胞壁断片がシグナルとなる事が報告されている。本研究ではこの知見を基に、細胞壁分解酵素、ならびにゲノム上に異なる数のRpfを持つ複数の細菌の培養上清を使用し、土壌中の環境微生物を対象に培養効率の改善を検討した。また、ゲノム上のrpf遺伝子を欠失させた株を構築し、野生型株の培養上清処理との培養効率の比較を行った。さらに、この時生育した微生物の16S rRNA遺伝子による多様性解析を行った。その結果、各処理によるコロニー形成効率の改善が見られ、これら処理により増殖が活性化した細菌種を絞り込めた。以上の結果は、Rpf活性を利用した環境微生物の新規培養法開発につながる可能性を示唆するものであった。
keywords:難培養,休眠,覚醒,,