P19-19 : モデル環境下における接合伝達性プラスミドの挙動解析
Posted On 20 10月 2014
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1静大院・工・化学バイオ, 2静岡大学工学部物質工学科
【目的】微生物細胞間を移動し、新たな細胞内で複製することが可能な接合伝達性プラスミドは、微生物の環境適応能に寄与すると考えられている。我々は、この性質を利用し、微生物に環境浄化能を付与することで、高効率・高確度な環境浄化システムの構築を目指している。本研究では、その第一歩として、ダイオキシン類分解能を宿主にもたらす接合伝達性プラスミドの伝達頻度と分解能力を評価した。 【方法】接合伝達性プラスミドとしてpHKA1::Kmを作製した。供与菌にはPseudomonas putida KT2440株、受容菌にはP. fluorescens Pf0-1株、P. putida PpY101株、P. resinovorans CA10dm4株を用いた。また、静岡県浜松市の佐鳴湖の湖水を孔径0.1 μmフィルターでろ過し、終濃度0.1 mMのカルバゾールを添加したものをモデル汚染環境水とした。供与菌と受容菌を接種した後、30℃で静置した。その後、経時的に試料を採取し、菌体数の変化とカルバゾール濃度を解析した。 【結果】どの受容菌を用いても、供与菌は1/103以下に減少した。接合完了体数は、実験開始直後で最も多かったPpY101(pHKA1::Km)は経時的に減少したが、最も少なかったPf0-1(pHKA1::Km)は経時的に増加する傾向が見られ、プラスミドの定着には菌株の組み合わせが重要であることが示唆された。現在は、菌株のより良い組合せを探索するとともに、宿主がプラスミドを保持するコストの評価、実環境を模した微好気・嫌気性条件下の解析を行っている。
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