P19-17 : 難分解性難燃剤分解菌のアルカリホスファターゼの同定と特徴解析
Posted On 20 10月 2014
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1長岡技科大院・工
難燃剤として用いられてきたTris(2-chloroethyl) phosphate (TCEP) などの含塩素有機リン酸トリエステル類の環境汚染による生態系への悪影響が懸念されている.我々は,TCEP分解能を有するSphingobium sp. TCM1株を見出し,その初発分解を担うハロアルキル有機リン酸加水分解酵素(HAD)を単離した.TCEPの分解代謝経路にはHADの他にジエステラーゼ,モノエステラーゼが関与し,これら酵素による分解が律速となっていると考えられた.そこで本研究では,TCM1株による効率的なTCEP分解の達成に資するため,モノエステラーゼの一種であるアルカリホスファターゼ(APase)の同定を試みた. はじめに,TCM1株ドラフトゲノムよりAPase遺伝子の探索を行った.その結果,得られた配列データから,既知のAPaseと相同性を示す4つの遺伝子(CDS153691,CDS130194,CDS64595,CDS16155)を見出した.推定APase遺伝子はそれぞれ,PhoDファミリー(CDS153691, CDS16155),PhoKファミリー(CDS130194),PhoAファミリー(CDS64595)に系統分類された.各々の遺伝子を大腸菌において発現させ,APase活性を測定した結果,CDS130194とCDS64595ではAPase活性が観察され,CDS130194において非常に高い活性がみられた.これらの結果より,少なくともCDS130194およびCDS64595はAPaseをコードしていると考えられた.
keywords:含塩素有機リン酸トリエステル類,アルカリホスファターゼ,Sphingobium sp. strain TCM1,,