P18-04 : 金属ナノ粒子が動物の腸内細菌に与える影響の解析
Posted On 20 10月 2014
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1大阪府大院・工
【緒言】金属ナノ粒子は食品添加物として包装材料、着色料、製造助剤として広く利用されている。そのため、食品と共にナノ粒子が体内に取り込まれ腸内細菌に影響を及ぼす可能性がある。しかし、食品に含まれるナノ粒子が腸管壁に付着して起こる炎症等は報告されているが、腸内細菌に対しての報告は少ない。そこで本研究では、ナノ粒子を動物の糞に投与して腸内細菌叢への影響について解析を行った。【方法・結果】ハムスター(Phodopus sungorus)の糞(平均約13.0 mg)と培地4.5 mlを容積20.6 mlのバイアルに加え、ここへ、7種類の金属ナノ粒子分散液(500 mg/l)を0.5 ml添加し、ヘッドスペースを窒素で置換し、310 Kで静置培養した。その結果、糞中の腸内細菌による発酵挙動として、炭酸ガスと水素の生成が確認できた。TiO2(粒径1.0 µm)、SiO2(4.0 µm)、Fe2O3(0.3 µm)、Fe3O4(1.0 µm)を添加してスキムミルクを基質として培養した場合では、炭酸ガスと水素の生成量は、ナノ粒子を投与していない対照と比べて変化しなかった。しかし、炭酸ガスと水素の生成量が対照では、2.86 ml、0.94 ml生成されたのに対して、ここへFe2O3(1.0 µm)を添加すると4.57 ml、6.70 ml、また、SiO2(4.0 µm)を添加すると5.07 ml、3.26 mlにまで、ガス生成量が増加した。以上の結果から、金属ナノ粒子は腸内細菌叢を変化させ、発酵挙動に変化を及ぼす可能性が示唆された。
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