P18-03 : 発酵制御因子として糖を用いた廃グリセリンの嫌気性水素発酵
Posted On 20 10月 2014
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1大阪府大院・工, 2大阪府大・工業高専
【背景と目的】近年、軽油の代替燃料として注目されているバイオディーゼル燃料(BDF)は、製造時にアルカリ触媒を用いることから、強アルカリ性の廃グリセリンを副生し、この処理技術の確立が求められている。廃グリセリンを嫌気微生物によって発酵分解する場合、実プロセスで使用される菌は種々の微生物が混在した複合菌叢の場合が多く、制御も難しいと考えられる。本研究室では、これまで極微量の糖を発酵制御因子として用い、複合菌叢による廃グリセリンの分解に成功した。本報告では、この分解時における複合菌叢を解析し、分解機構の解明と菌叢制御技術の構築を研究目的とした。【方法と結果】京都府八木町のメタン発酵プラントより採取した消化発酵汚泥4 mlと廃グリセリンと制御因子である糖の混合液1 mlを容積20.6 mlのバイアルに加え、ヘッドスペースを窒素で置換したのち、310 Kで静置培養した。制御因子としてガラクトース、ガラクツロン酸を加えた場合ではメタン発酵が優勢であったが、グルコースを加えた場合では水素発酵が優勢となり、グルコースが水素発酵の制御因子となることがわかった。このグルコース存在下で、培養液の入れ替えによる半回分培養を200日以上行ったところ、培養液中に水素生成に適した菌叢構造が形成されることがわかった。この菌叢を希釈して、グリセリンを基質とする寒天培地上に塗布し、コロニーを形成させた。現在、グリセリン分解に関わる微生物の特定を、PCR-DGGE法を用いた菌叢構造解析によって行っている。
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