P17-01 : 酵素反応を必要としない蛍光増幅技術を用いた環境微生物のmRNAの視覚的検出
Posted On 20 10月 2014
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1長岡技科大・院・工・環境システム工・水圏土壌環境制御工
rRNAを標的としたfluorescence in situ hybridization (FISH) 法は, 系統分類学的な微生物の同定が可能であるが, 微生物機能を把握する事が困難である. 視覚的に原位置かつシングルセルレベルで微生物機能を把握する方法として, 特定の機能遺伝子やmRNAを標的とした高感度FISH法が有効である. 中でも蛍光増幅技術として酵素反応を用いるtyramide signal amplification (TSA)-FISH法が最も汎用されている. しかし, TSA-FISH法は, 細胞壁処理の最適化が困難であり, 内在性HRP活性による擬陽性の蛍光が得られる等の問題が知られている. そこで本研究では, mRNAを視覚的に検出する方法として, 酵素反応を用いずオリゴプローブの伸長反応のみで蛍光増幅させる高感度FISH法であるin situ DNA hybridization chain reaction (in situ DNA-HCR) 法を用いた新規高感度FISH法を開発した. まず, 菌体内でHCR法によるプローブの伸長及び蛍光増幅が二回行えるようプローブを設計し, E.coliのEUB338領域を標的としてプロトコルの確立及び蛍光強度の算出を行った. 次に, mRNAを検出する標的微生物としてトルエンガスを生物学的に処理しているバイオリアクター内の内在性活性を有した環境微生物群に存在し, 系統解析では微生物機能の把握が困難なトルエン分解菌のトルエン分解に関与する機能遺伝子の一つであるtmoA遺伝子から発現するtmoA mRNAを選定した.
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