P15-09 : 高温固定床内のメタン発酵微生物群集のメタトランスクリプトーム解析
Posted On 20 10月 2014
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1東京薬大 生命科学部, 2J. Craig Venter Institute, 3鹿島技術研究所
メタン発酵は、廃水やバイオマス廃棄物からのバイオガス製造技術として注目されている。メタン発酵においては、複数の微生物が関わる連鎖反応によってメタンが生成され、それらの生態学的機能を理解することは重要である。本研究では、高効率なメタン発酵を可能にする高温固定床型発酵槽に着目した。この中では、微生物が高密度で固定床に付着し、高活性なメタン発酵生物膜が形成されると考えられている。本研究では、メタトランスクリプトーム解析により、発酵菌やメタン生成菌などからなる生物膜微生物群集の機能的・生態学的特徴を解明し、それを基に高効率なメタン生成反応の分子メカニズムを考察することを目的とした。 高温固定床式発酵槽(55℃、固定床として炭素繊維不織布)に嫌気消化汚泥を植菌し、酢酸が主成分の合成廃水を添加してメタン発酵菌群を集積した。メタン生成が安定した後、生物膜および発酵液中微生物からDNAとRNAを抽出し、Illumina社のHiseq2000を使用してシーケンスを行い、各サンプルについて合計約5Gbのreadを得た。DNA由来のreadを基に作成したcontigを用いてbin-genomeを作成し、その中の各遺伝子の相対発現量をmRNA由来のread数から算出した。その結果、メタン菌のMethanosarcinaやMethanothermobacterが生物膜中に高濃度で存在していた。また、酢酸および水素からのメタン生成に関わる遺伝子群が高発現していることが示された。
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