P15-05 : 土壌細菌での鉄応答制御因子Furを介した転写調節機構の解明
Posted On 20 10月 2014
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1東北大・院・生命科学
物質代謝能にたいへん優れた土壌細菌Burkholderia multivorans ATCC 17616株の鉄応答制御因子 (Fur) は鉄関連遺伝子のみならず、多様な遺伝子の転写調節に関与するグローバルレギュレーターである。本株ゲノム中から19 bpよりなるFur結合配列 (Fur-box)が13箇所見出され、その近傍にはプロモーターが存在すると推測されているが、転写開始点及びプロモーターは明らかになっていなかった。我々は、本株のFur-box近傍を含む全遺伝子の転写開始点を次世代シーケンサーを用いて網羅的に解明することで、Fur-boxとプロモーターの相対的な位置関係が明らかとなり、Furによる転写制御機序解明の手がかりが得られると期待した。Fur欠失株(DF1)を用いた解析より、13箇所のFur-boxのうち6箇所について近傍に転写開始点を同定し、これら6箇所のFur-boxは-10 boxあるいは-35 boxにオーバーラップして存在しており転写調節機構において重要な役割を担っていることが示唆された。さらに本解析から非コード領域の転写開始点を3つ見出し、Furとの関連性が示唆された。一方、当解析は遺伝子転写量を定量的に測定することが可能とされているものの、PCRでの増幅バイアスによって定量性がある程度失われていると考えられる。そこで我々は、本手法に改良を加えることで定量性を向上させ、DF1と野生株を同時に解析し、DF1で特異的に転写量が変動する全遺伝子群を網羅的に同定し、その変動の定量的解明をめざしている。
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