P15-02 : 新規Elusimicrobia門細胞内共生細菌のドラフトゲノム配列取得と比較解析
Posted On 20 10月 2014
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1東工大・院・生命理工, 2理研・BRC・ JCM, 3The Univ. of Sydney Sch. of Biol. Sci., 4理研・ CSRS・BMEP
ゲノムの縮小進化は細胞内共生細菌の最大の特徴の一つである。ゲノム縮小進化過程の詳細を明らかにするには、近縁種でありながら異なるゲノム縮小段階にある細胞内共生体間での比較ゲノム解析が望ましい。
本研究で扱うElusimicrobia門(TG1門)細菌は難培養性の真正細菌の一群であり、多様な環境に生息しているが、特にシロアリ腸内に豊富に存在する。シロアリ腸内においてElusimicrobia門細菌は、自由生活型も存在するものの、多くの種が腸内原生生物に細胞共生している。
近年、シロアリ腸内原生生物Trichonympha agilisの細胞内に共生するElusimicrobia門未培養細菌種Rs-D17について、ゲノム完全長配列の取得と解析が行われた。その結果、ゲノムは1.1Mbp程の大きさしか無く、遺伝子のうち約15%が偽遺伝子化しており、Rs-D17のゲノムは縮小進化過程にあることが示唆された(Hongoh et al.,2008, PNAS)。
さらに16S rRNAを用いた分子系統学的解析によれば、Elusimicrobia門細菌と原生生物の共生は複数回独立に生じたことが示唆されており、異なるゲノム縮小進化段階にある可能性が高い(Ohkuma et al.,2007, FEMS Microbiol. Ecol.)。
本研究では、細胞内共生に伴うゲノム縮小進化過程の詳細に迫るため、T. agilis以外の原生生物に細胞内共生している未培養のElusimicrobia門細菌のドラフトゲノム配列を取得し、Rs-D17のゲノムとの比較解析を試みた。
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