P13-18 : 有機窒素化合物の生分解性に関わる活性汚泥の微生物解析
Posted On 20 10月 2014
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1ライオン・環境・安全性評価セ
背景および目的:生分解性は、試験に用いる活性汚泥により分解度が異なることが知られている。今回、有機窒素化合物を例として、メチルグリシン二酢酸(MGDA)を配位子とする亜鉛錯体(Zn-MGDA錯体)について、化審法標準活性汚泥および都市下水処理場汚泥を用いて生分解性試験を行なった。その結果、分解度に大きな違いが観察された。そこで、分解度試験結果の違いを究明するため、活性汚泥の微生物群集の相違とZn-MGDA錯体の分解菌の分離および同定を試みた。方法および結果:化審法標準活性汚泥および都市下水処理場汚泥を用いて、DGGEによる微生物群集構造解析を実施した結果、標準活性汚泥と都市下水処理場汚泥ではバンドパターンの違いが検出された。国内3ヶ所(福岡県、栃木県、神奈川県)の都市下水処理場汚泥を用い、OECDテストガイドラインに従いZn-MGDA錯体の分解度試験を実施した結果、Zn-MGDA錯体の分解菌を分離した。分解菌の16SrDNA-Full塩基配列解析の結果、Aminobacter aminovoransと100%の相同性が認められた。A. aminovoransのtype strainを入手し、Zn-MGDA錯体の分解度試験を実施した結果、90%以上の分解度を確認した。考察:これらの結果より、Zn-MGDA錯体の2種類の汚泥による分解度試験結果の違いは、用いた活性汚泥の菌叢の違いに起因すると考えられた。すなわち、Zn-MGDA錯体を分解した都市下水汚泥のみに、分解菌としてAminobacter aminovoransを見出した。それ以外の分解菌についても合わせて報告する。
keywords:生分解,有機窒素化合物,活性汚泥,Aminobacter,aminovorans