P13-15 : 長期馴養した好酸性硝化リアクターの微生物学的特性
Posted On 20 10月 2014
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1豊橋技科大 環境・生命工, 2テクノスルガ・ラボ
[目的] 一般に硝化は中性から弱アルカリ条件でみられるが、近年、酸性土壌におけるアンモニア酸化や好酸性アンモニア酸化アーキアの存在が報告されている。従前研究で我々は、pH 4.0以下で硝化を起こす好酸性硝化リアクター(ANSBR)の構築に成功し、TM7門細菌が優占することを見いだした。今回はANSBRの安定性を明確にするために、本リアクターを長期間馴養し、ストレプトマイシン添加の影響や微生物学的特性について解析したので報告する。
[方法] アンモニウムを基質とする無機塩培地(pH 4.0)で2年間ANSBR(Astm–)を馴致した。これを接種源として、さらにストレプマイシン添加系(Astm+)、および尿素を基質するストレプマイシン無添加(Ustm–)と添加(Ustm+)の系を構築した。硝化活性は基質の比色定量およびイオンクロマトグラフィーによる硝酸の定量に基づいて評価した。それぞれの系について16S rRNA遺伝子標的のPCR-DGGEおよびイルミナMiSeqによる網羅的配列解析を行い、特異的プローブを用いたFISHによってTM7の存在量を評価した。
[結果および考察] Astm–、Astm+、Ustm–ではすべてpH 4.0以下の条件で硝化活性が確認された。また、PCR-DGGE、MiSeq、FISHのいずれの解析においてもTM7の優占が確認された。一方、Ustm+では硝化が起こらず、PCR-DGGE解析でもTM7が検出できなかった。以上の結果より、Ustm+で硝化が起こらない理由は不明であるが、ストレプトマイシン耐性TM7細菌の酸性硝化への関与の可能性が示唆される。
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