P13-02 : 1,4-ジオキサン分解菌の単離と諸性状
Posted On 20 10月 2014
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1東京海洋大・院
1,4-ジオキサン (以下ジオキサン) は両親媒性の有機溶剤であり、有機溶剤の安定剤、洗顔料、化粧品や塗料の溶剤などに幅広く使用されている。ジオキサンは通常の微生物では分解されず、ヒトに対する発がん性が疑われ、河川や地下水の汚染が懸念されている。当研究室では化学工場の活性汚泥よりジオキサン分解菌叢が発見されている。本研究では、この分解菌叢中より分解菌を単離し、その諸性状を調べて実廃水処理へ応用することを目的とした。
まず、ジオキサン分解菌叢から種々の培地を用いて細菌を単離した。次に分解菌の1次スクリーニングとして、供試菌の増殖量を濁度 (OD600) で測定した。MSM培地にジオキサン終濃度100 mg/Lを添加し、2週間の振とう培養を行い、増殖率が培養0日目と比較し、150 %以上の株を分解候補株として選別した。得られた候補株について、分解能力を測定する2次スクリーニングを行い、分解能力が確認できた株について、16S rDNA塩基配列に基づく種の同定を行った。
5種類の分離培地より合計111株の細菌が単離された。これらの単離株について、分解菌の1次スクリーニングを行った結果、12株の候補株が選別された。この12株について2次スクリーニングを行った結果、2株(No.11およびNo.12株と命名)は培養14日間で100 %の分解が確認された。また、この2株はPseudonocardia dioxanivorans CB1190株と98.8 %以上の相同性を示した。今後、これらの分解菌の培養条件の検討を行い、実用化に向けた応用実験を行う予定である。
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