P12-04 : シソ科ハーブの抗菌・抗酸化能評価並びに耐病性誘導
Posted On 20 10月 2014
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1岐阜大・院 応用生物, 2岐阜大・応用生物
ハーブの抗菌・抗酸化活性についてこれまでに臨床・食品微生物を対象とした利用例が多いが、植物病害における検討事例は非常に乏しい。ハーブ含有の抗菌・抗酸化物質が植物体の耐病性を向上する場合、ハーブ有効成分処理やコンパニオンプランツ・カバークロップ法により病害防除・植物体生育改善を図れる可能性がある。本研究ではシソ科ハーブ10種を対象とし、in vitroにおけるアスパラガス立枯病菌への抗菌性および抗酸化能評価を行った。また、抗菌性・抗酸化物質含量の高いハーブにおいて抽出液処理による耐病性誘導と静菌作用に関する調査を行った。抗菌性・抗酸化能評価の結果、オレガノ、セージ、ヒソップ、レモンバームを選抜した。ハーブ抽出液処理による耐病性誘導検定では、特にセージとレモンバームの茎葉部(10%, w/v)、根部抽出液(5%, w/v)添加区において立枯病発病程度が軽減された。また、立枯病菌接種4週間後の土壌中Fusarium菌量も、セージ、レモンバーム抽出液添加区において対照区より有意に低下した。この場合、立枯病発病指数と土壌中菌量には相関がみられた。一方、立枯病菌接種後における地上部および地下部乾物重は,セージ根部,レモンバーム茎葉部抽出液添加区で対照区より大きかった。以上のことから、セージ、レモンバームの茎葉部、根部抽出液処理により、立枯病発病抑制効果および生育改善が確認され、耐病性誘導には土壌中の病原菌量減少による静菌作用が関連することが示唆された。現在はメタボローム解析による包括的なハーブ抽出液含有成分調査を行っており、抗菌物質の同定、抗酸化機能と耐病性との関連について検討している。
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