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O12-10 : シアノバクテリアにおける乾燥適応の分子機構
Posted On 20 10月 2014
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1首都大学東京・院・生命, 2中央大・生命, 3埼玉大・分子生物, 4JST・さきがけ
酸素発生型の光合成により特徴づけられるシアノバクテリアは、非常に多様な生物群である。シアノバクテリアは、光と水、そしていくつかの無機物のみで生育することができるため、光を利用できるほぼ全ての環境に存在している。その棲息域は、海や湖沼などの水圏のみならず、陸上にも拡がっている。Nostoc communeなどの陸棲シアノバクテリアは、非常に高い乾燥耐性を示すことが知られている。100年近く乾燥状態で保管されていたN. communeを水に戻すと増殖を再開したという報告もある。水は地球上の全ての生物にとって必須の物質であるが、その喪失、すなわち乾燥に耐える分子機構はいまだ解明されていない。我々は、N. communeと近縁のモデル種であるNostoc (Anabaena) sp. PCC 7120を用いて、その乾燥適応の分子機構を解明することを目的として研究を進めた。その結果、乾燥により顕著な発現誘導を受ける転写制御因子OrrAが、Nostoc PCC 7120の乾燥適応に必須であることが明らかとなった。OrrAは、トレハロースやスクロースなどの適合溶質の合成に関わる遺伝子を始め、乾燥に応答する多くの遺伝子の発現を制御するマスターレギュレーターとして機能していた。OrrAはNostocおよびAnabaena属のシアノバクテリアに保存された転写因子であり、これらのシアノバクテリアの乾燥適応に重要な役割を果たしていると考えられる。
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