O32-01 : 舞鶴湾海底堆積物から分離したメロン香産生酵母の分子系統解析
Posted On 20 10月 2014
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1京大・院・農
真菌はセルラーゼやペニシリンの生産者として産業利用されているTrichoderma属及びPenicillium属や、アルコール発酵を行うSaccharomyces属など様々な有用微生物を含んでいる。現在真菌は約8万種が知られているが、実際は150万種以上存在するとも言われており、性状未知な種が多く存在する。海洋環境は陸上に比べ水圧や塩濃度など、様々な環境要因が存在する事から、多様な種が存在する可能性があるが、海洋に生息する真菌の多様性はあまり調べられてこなかった。これらの事より本研究では、海洋環境からの新奇真菌類の探索を目的とした。京都府舞鶴市の舞鶴湾から海底堆積物と海水を採取し、真菌類の単離を試みた結果、計16株の真菌様分離株が得られた。この16株のうち海底堆積物から分離した2株の寒天培地からメロン様の香気が発生したため、これら2株の培養液気層部をガスクロマトグラフィーによって分析した。その結果、メロン香主成分の4つの標準物質と同じリテンションタイムの物質が検出された。更に18SrRNA遺伝子断片及び26SrRNA遺伝子のD1/D2領域の分子系統解析により、これら2株はGalactomyces candidumに極めて近縁である事がわかった。しかしながら、調べた限りG. candidumがメロン香を生産するとの報告例は少なく、現在分離株の詳細な性状解析を進めている。
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