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P26-4 : 流動条件下で形成した緑膿菌バイオフィルムに対するD-アミノ酸添加の影響
Posted On 20 10月 2014
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1静大院・工・化学バイオ
微生物が形成するバイオフィルム(BF)は,医療・工業の現場では除去すべき構造体であるが,体内などで形成されたBFに対して,あまり有効な除去手法はまだ見出されていない.我々は,日和見感染を引き起こす緑膿菌Pseudomonas aeruginosa PAO1株が流動条件下で形成するBFを,リアルタイムに観察する流路型デバイスを開発している.先行研究で,PAO1株にD-AA混合物を添加すると,BFは崩壊しないが,BF内部の死細胞が増加するという現象を見出している.そこで本研究では,添加したD-AA混合物のうち,どのD-AA(6種類)がPAO1株のBF内の細胞に影響を及ぼすのかを調べた.
30℃でLB培地にてOD600=0.6となるまで振盪培養したPAO1株を,デバイスの流路上に付着させた後,1/3LB培地を流量11 mL/hで48 h連続供給し,BFを形成させた.その後,D-AAを加えた1/3LB培地を16 h連続供給し,共焦点レーザー走査型顕微鏡を用いてBFを観察した.また,COMSTATを用いて,BF内のバイオマスの定量を行った.
その結果,D-チロシンまたはD-トリプトファン処理を行った場合,未処理のものと比較して,生細胞が78%以上減少し,死細胞が220%以上増加することが観察された.この結果から,D-チロシンまたはD-トリプトファンがBF内の細胞を何らかの機構で死滅させることが示唆された.現在は,D-AAがどのような機構でBF内の細胞を死滅させるのかについて手がかりを得るために,D-AA処理時間を変えた場合や,流路に供給する培地の種類を変更した場合についても観察を試みている.
keywords:biofilm,flow condition,D-amino acids,multichannel microdevice,