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P14-13 : ウキクサ科植物の葉状体に生息する微生物群集の解析
Posted On 20 10月 2014
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1山梨大・院・医学工学総合, 2産総研・生物プロセス, 3北大・院・環境科学
ウキクサをはじめとするウキクサ科植物の多くは葉状体と根とで構成される浮遊性の水生植物であるが、これまでに我々は、ウキクサの根に生息する微生物が様々な有害化学物質分解を担うことを明らかにしてきた。また、新規微生物資源開拓という観点からも、ウキクサの根からは他の環境試料中では難培養とされる系統的に新規な微生物が容易に分離・培養されるという非常に興味深い知見を得ている。しかしその一方で、ウキクサの葉状体に生息する微生物群集に着目した研究は非常に少ないのが現状である。そこで本研究では、3種のウキクサ科植物(ウキクサ、アオウキクサ、コウキクサ)をターゲットとし、①葉状体には根とは異なる微生物群集が生息するのか?②葉状体は新規微生物の分離源として期待できるか?③葉状体にも有害化学物質分解菌は分布するのか?について検討することとした。
非培養法と培養法により、3種のウキクサ科植物はいずれも葉状体には根と異なる微生物群集を有することが明らかとなった。また、ウキクサの葉状体から根と同様に系統的に新規な微生物が多数分離され、アオウキクサの葉状体からは難培養性の細菌群として知られるArmatimonadetes門(Candidate phylum OP10)、Verrucomicrobia門に属する微生物が分離される等、ウキクサ科植物の葉状体が新規微生物の分離源として有効であることを示す結果が得られた。さらに、フェノールやトリクロロエチレン等の分解に関わるフェノールヒドロキシラーゼのラージサブユニット遺伝子(LmPH遺伝子)を有する微生物がすべてのウキクサの葉状体に分布することが明らかとなった。
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