P13-04 : 固体炭素の構造がGeobacter属細菌の電流生産能に与える影響
Posted On 20 10月 2014
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1名工大・都市工, 2名工大・若手研究イノベーター養成セ, 3中部大・生命健康, 4豊橋技科大・環境生命工, 5豊橋技科大・電気電子工
我々は、黒鉛を化学的に酸化した炭素原子1層のシート状分子である酸化グラフェン(GO)を唯一の電子受容体とした選択培養により、GO還元物(rGO)によって電流生産微生物を集積・捕捉したアノードを作成できることを示してきた。本研究では、rGOが代表的な微生物燃料電池(MFC)のアノード素材である黒鉛フェルト(GF)に比べ電流生産性において優れるか、MFC運転試験、電気培養試験によって評価した。
GO還元能を有する電流生産微生物として、河川水から分離したGeobacter sp. R4株を用いた。無機塩、5.0mM酢酸ナトリウムおよび0.67g·L-1GOを含む培地にR4株を接種後、28℃で1ヵ月静置培養し、R4株と還元GOの複合体(R4-rGO複合体)を作成した。GFを用いた対照実験では、酢酸およびフマル酸を含む培地で培養したR4株の培養物にGFを浸漬し、R4-GF複合体とした。
R4-rGOおよびR4-GF複合体を単槽MFCリアクターに投入し10日間運転した結果、R4-GF複合体が複合体容積あたり最大2.2μW·cm-3を出力したのに対し、R4-rGO複合体では最大値70μW·cm-3を出力した。また、対電極電位を+0.2Vとした定電圧電気培養を3日間行った結果、R4-GF複合体が複合体容積あたり100 μA·cm-3の電流生産を示したのに対し、R4-rGO複合体では990μA·cm-3を示した。以上より、GO還元能を有するGeobacter属細菌においては、GOを用いた自己パッケージングアノードが電流生産において優れたアノードとして機能することが示された。
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