P26-14 : Lactobacillus plantarumにおけるコロニー形態の多様性とバイオフィルム形成の関連
Posted On 20 10月 2014
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1筑波大院・生命環境, 2花王・安全性科学研, 3, ,
実環境中の微生物の多くはバイオフィルム(BF)を形成して生息している。BF形成により微生物が抗生物質や酸に対する高い抵抗性を獲得することや、実験室株よりも環境単離株のBF形成能が高いことが報告されている。一方、BF形成菌の一つである乳酸菌は食品製造に利用される有用菌、及び危害菌として知られ、その基礎的知見や制御法の発見が求められている。しかし、本菌の環境分離株におけるBF形成やその性質の知見は極めて少ない。そこで本研究ではLactobacillus plantarumの環境分離株におけるコロニー形態の多様性に着目し、BFの構造及び性質との関連を解析した。
環境単離株は実験室株とは異なり、黄と赤の2種のコロニーを形成し、一方のコロニーを単離培養すると他方の色のコロニーが再び出現することが明らかとなった。黄コロニーの菌体は基質への付着量が多く、均一で密なBFを形成した一方で、赤コロニーの菌体では付着量は少なく非常に疎なBFを形成した。また後者は前者と比べ、多量の細胞外マトリクスを保有した厚い構造をしておりDNaseIやProteinase Kの影響を受けにくかった。 さらに、複数の環境単離株を用いた解析の結果、各々の株間では2種のコロニーの出現率も大きく異なり、その出現比率に応じてBF構造にも差異が見られた。以上の結果よりL. plantarum のコロニー形態とBF形態及びその性状には関連性があることが示唆された。 本研究によって、実環境中のL. plantarumはコロニー形態に多様性を有し、それに伴ってBF形態を制御することで環境応答している可能性が示された。
keywords:Biofilm,Lactobacillus plantarum,colony morphology,,