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O29-02 : Sinorhizobium属根粒菌のゲノム比較と宿主植物との共生に関与する因子の探索
Posted On 20 10月 2014
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1ミネソタ大, 2東北大・院生命科学
根粒菌はマメ科植物に根粒を形成し、共生窒素固定を行う土壌細菌である。この共生相互作用において、根粒菌が分泌するリポキチンオリゴ糖(Nodファクター)の構造の違いにより宿主範囲がある程度決定されているが、根粒菌の分泌タンパク質もまた宿主特異性および共生成立に関与することが明らかとされてきている。しかし、これまでにSinorhizobium(Ensifer)属根粒菌とMedicago属植物の共生相互作用におけるタンパク質分泌機構の関与は知られていない。そこで、本研究で決定した5種48株のSinorhizobium属細菌のゲノム情報を利用した比較解析および遺伝学的解析により、Medicago属植物との共生成立におけるタンパク質分泌機構の影響を調査した。
初めに、各ゲノムより3、4および6型分泌系遺伝子群の有無を調査した。その結果、アミノ酸配列の相同性等により分類された複数の遺伝子群が同定され、その有無は菌種および菌株レベルで異なっていた。この内、Medicago属植物を宿主とするS. meliloti およびS. medicae計46株中、Virタイプの4型分泌系遺伝子群を保有する20株は全てMedicago属植物タルウマゴヤシと正常に共生成立したが、一方で、根粒は形成するが著しく共生能の低い16株からは同遺伝子群が同定されなかった。さらに、同遺伝子群破壊株は、宿主植物の遺伝型によって異なる共生表現型を示した。これらの結果から、Sinorhizobium属根粒菌とMedicago属植物との共生相互作用において、Virタイプの4型分泌機構が少なからず関与することが示唆された。
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