JS16-2:

大腸菌のコロニー形成能における遺伝子関与

正木 春彦, 納庄 一樹, 西尾 優宏, 福嶋 凡子, 小川 哲弘, 日髙 真誠 東大院・農  微生物とくに細菌は、遺伝子から見た生物多様性の圧倒的部分を占めるにもかかわらず、その分離は、コロニー形成に依存するため現在でも大きな障壁となっている。環境中の細菌はなぜほとんどコロニーを形成しないのか、あるいは、分離できた菌はなぜコロニー形成できたのか?明らかにコロニー形成は生きていることと同値ではなく、特殊な生理過程らしい。だとすれば特定の遺伝子発現が深く関与しているであろう。我々は大腸菌をモデルに、コロニー形成に関与する遺伝子を2つのアプローチで研究している。大腸菌
Posted On 06 10月 2015
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JS15-2:

富栄養・貧栄養連続培養系における鉄制限Microcystis aeruginosa細胞特性と増殖応答

藤井 学 東京工業大学 鉄制限の連続培養系において淡水性ラン藻類Microcystis aeruginosaを培養し、細胞増殖、鉄細胞内含量、鉄摂取速度などの細胞応答を調べた。特に本研究では、鉄以外の栄養塩状態の影響も評価するため、富栄養・貧栄養条件における培養を行った。具体的には、鉄以外の栄養塩が十分に存在し最適増殖が可能なFraquil(富栄養Fraquil)、ならびに鉄以外の栄養塩も増殖を制限するFraquil(貧栄養Fraquil、特に硝酸やモリブデンが低い)の栄養塩濃度が異なる二つの淡水培地を用いた。両培地において、鉄細胞内含量は希釈率とともに増加し、D
Posted On 06 10月 2015
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JS14-2:

温室効果ガス削減:牛ルーメンからのメタン発生とその削減に向けて

小林 泰男 北海道大学大学院農学研究院  ウシに代表される反芻動物は、上部消化管に複胃を有し、中でも第一胃(ルーメン)に多様な微生物群を形成することで、摂食した繊維質の分解を微生物にゆだねている。この嫌気的ルーメン微生物発酵下では代謝性水素の主要処理物としてメタンが生成される。可燃ガスであるメタンはあい気(ゲップ)として体外へ放出されるため、飼料エネルギーの損失となる。過去半世紀にわたり、もっぱら飼料エネルギー利用効率改善という視点で反芻家畜からのメタン低減が研究対象になってきた。ところが、メタン低減は近年の温暖化論議の中で大きな注目を集めるようになった。その理由
Posted On 06 10月 2015
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JS13-2:

有用細菌の植物組織局在性から見た接種法の提案

大和田 琢二 帯畜大・食品科学  有用な微生物群が植物を健康に育むという視点は、安全安心で持続的な農作物生産を考える上で重要である。しかし、接種菌が植物に定着せず期待する効果が得られない問題があった。そこで、十勝の代表作物(バレイショ、テンサイ)から菌叢解析による定着性の情報と植物接種試験の結果から選抜した有用細菌を標識・可視化し、植物組織局在性と生理・生化学的特性に基づいて効果的・安定的な接種法を検討した。 レポーター遺伝子の導入や細胞染色法の最適化により、バレイショ有用細菌4株(Alphaproteobacteria T168株、Betaproteobacte
Posted On 06 10月 2015
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JS12-2:

ファージと獲得免疫システムCRISPRの割り切れない関係とその生態学的意義

丸山 史人1, 渡辺 孝康2, 野澤 孝志1, 中川 一路1 1京都大学, 2東京大学  細菌においてclustered regularly interspaced short palindromic repeat (CRISPR) は、外来因子に対する獲得免疫機能を持った反復配列である。ところが、相反する機能をもつはずのプロファージ内にCRISPRが入り込んだものが、限られた細菌種において発見されているが、その生物学的意義は不明である。 本研究では、CRISPRを保有するプロファージに系統学的普遍性があるかを、入手可能な細菌・ウイルスゲノム、メタゲノムにて調べた
Posted On 06 10月 2015
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JS11-2:

たんぽぽ計画:国際宇宙ステーションでの微生物採集・曝露実験

横堀 伸一 東京薬大学・生命・応用生命  地球外天体に生命やその痕跡を探す研究・探査が近年盛んに行われるようになって来た。また、微生物の宇宙空間曝露実験による生命の宇宙空間での生存可能性の検証が行われてきた。これらの研究の進展に従って、宇宙空間を(微)生物が移動する可能性、「パンスペルミア仮説」、もまた再考され、そのようなパンスペルミアがそもそも可能であるかを検討する研究が進められてきた。 我々は、ISS-JEM(国際宇宙ステーション・日本実験棟)曝露部上での微生物と生命材料となり得る有機化合物の天体間の移動の可能性の検討と微小隕石の検出および解析実験を提案した[
Posted On 06 10月 2015
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JS10-2:

アミノ酸の窒素同位体比からみる食物連鎖

大河内 直彦, 力石 嘉人 海洋研究開発機構 生物地球化学研究分野  窒素安定同位体比は,食物連鎖を知るツールとして用いられてきた。これは,15Nが食物連鎖にともなって平均3.4‰ずつ生体中に濃縮していくという経験的な知見を基礎としている(Minagawa and Wada, 1984)。20種類のアミノ酸が生体中に含まれる窒素のおよそ8割を占めることから,食物連鎖にともなう15Nの濃縮とは,代謝の過程でアミノ酸がもつアミノ基に15Nが濃縮することであることは予想される。私たちのグループでは,アミノ酸窒素同位体比の正確かつ迅速な測定法を確立し,様々な生物試料を分析
Posted On 06 10月 2015
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JS9-3:

ジャガイモ塊茎表皮に形成される細菌群集構造と塊茎の生育段階におけるその変化

境 雅夫, 松山 知美, 池永 誠 鹿児島大農 ジャガイモそうか病は塊茎表皮に病斑を生じる土壌病害であり、その原因菌として数種のStreptomyces属放線菌が知られている。ジャガイモ塊茎の表皮には、そうか病菌以外にも様々な細菌種が定着しており、塊茎上の細菌間に生じる相互作用は病害発生程度にも影響を及ぼす可能性がある。すなわち、塊茎表皮の細菌群を制御することにより、そうか病の発生を抑制できる可能性が考えられる。そこで本研究では、そうか病防除技術の開発に資するため、ジャガイモ塊茎表皮に生息する細菌の群集構造を経時的に調査した。 方法:ジャガイモをそうか病未発生圃場
Posted On 06 10月 2015
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JS8-3:

謎の腸内胞子が語ること −昆虫腸内生真菌類の自然史−

出川 洋介 筑波大学菅平高原実験センター 真菌類は比較的大きなサイズの“微生物”である。キノコはいうまでもなく、カビのような微小菌でも菌糸の直径は数μmはあり、その分類には、光学顕微鏡下の形態的特徴が重視されてきた。しかし、個々の形態が持つ意味や機能が十分に解明された例は多くはない。昆虫腸内生真菌類の研究を通し、両者の相互作用を示唆する形態の解明に至った事例を紹介したい。 ハサミムシ目昆虫の糞を培養検討した結果、接合菌門キクセラ目の2種の菌を得た。ハマベハサミムシの糞からは既知種(以下ハマベ菌と仮称)、ヒゲジロハサミムシからは未記載種(以下ヒゲジロ菌と仮称)が繰り
Posted On 06 10月 2015
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JS7-3:

細胞内共生の成立機構の解明と宿主細胞の環境適応力の増強

藤島 政博 山口大・院理工、AMED-NBRPゾウリムシ、山口大・中高温微生研  ミトコンドリアや葉緑体の獲得に貢献した細胞内共生は現在も繰り返して行われ、新たな細胞構造と機能の獲得による真核細胞の進化の原動力となっている。その成立過程を解明するには、宿主と細胞内共生生物とを一時的に分けて維持し、その後,両者を混合して細胞内共生を同調して誘導し、経時的変化を追跡できる実験系が必要になる。しかし、大部分の細胞内共生系では、宿主か細胞内共生生物の一方または両方がパートナーの存在なしでは生存不能なほどに一体化が進行しており、多数の細胞に細胞内共生を同調して誘導可能な材料
Posted On 06 10月 2015
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