JS21-3:

バイオフィルムは自然突然変異株作製装置そしてリザーバである

野村 暢彦 筑波大・生命環境系  細菌は単細胞生物として、互いにわれ関せずに生きていると長い間信じられてきた。しかしながら、その細菌も会話をし、集団生活をしていることが明らかになってきた。すなわち、言葉としてシグナル化合物を用いて、細菌間でコミュニケーションをしながら、バイオフィルム(BF)と呼ばれる組織化された集団で環境適応し生活していることがわかってきた。それらは、健康(感染症・プロバイオティクス)、食品(発酵・危害菌)、金属腐食、水処理(活性汚泥・膜処理)、BFなど正負の両面で様々な産業に関わっている。以上の背景より、バイオフィルムおよびCell-cell
Posted On 06 10月 2015
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JS19-2:

インドネシア海岸環境からのアクチノバクテリアの分離と分類学的多様性

浜田 盛之 製品評価技術基盤機構 放線菌は、細菌の一分類群でありながら糸状菌に似た複雑な形態的特徴を有し、抗生物質等の多くの生理活性物質生産菌が存在する有用菌群として知られている。一方、現在のリボソーム遺伝子塩基配列に基づく系統関係を中心とした分類においては、放線菌に含まれるにも関わらず菌糸状の形態を示さないものも数多く存在し、これらはアクチノバクテリアと呼ばれることが多い。アクチノバクテリアには有用酵素やアミノ酸、ビタミン等の生産菌や難分解性物質分解菌などが数多く含まれるため、産業上有用な菌群として扱われている。そのため、新規性の高いアクチノバクテリア菌株を分離
Posted On 06 10月 2015
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JS18-2:

深部地下圏メタン生成プロセスの複雑性:珪藻岩層と石炭層微生物メタンの工学研究における諸問題

清水 了 公益財団法人北海道科学技術総合振興センター幌延地圏環境研究所 1.はじめに 地層内部でのメタンの生成(エネルギー生産)や抑制(温室効果ガス削減)について微生物利用を考える場合、原位置におけるメタン生成プロセスの理解が不可欠である。本講演では、著者らが約10年間にわたって北海道の珪藻岩や石炭の地層で行ってきた研究の中から「地下圏微生物の工学研究」について課題となりそうな知見をいくつか紹介したい。 2.地層内におけるメタン生成プロセスの不均一性 珪藻岩の地層で複数の近距離座標から採取した地下水のメタン生成活性を培養法により調べた結果、座標ごとに利用可能なメタ
Posted On 06 10月 2015
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JS16-2:

大腸菌のコロニー形成能における遺伝子関与

正木 春彦, 納庄 一樹, 西尾 優宏, 福嶋 凡子, 小川 哲弘, 日髙 真誠 東大院・農  微生物とくに細菌は、遺伝子から見た生物多様性の圧倒的部分を占めるにもかかわらず、その分離は、コロニー形成に依存するため現在でも大きな障壁となっている。環境中の細菌はなぜほとんどコロニーを形成しないのか、あるいは、分離できた菌はなぜコロニー形成できたのか?明らかにコロニー形成は生きていることと同値ではなく、特殊な生理過程らしい。だとすれば特定の遺伝子発現が深く関与しているであろう。我々は大腸菌をモデルに、コロニー形成に関与する遺伝子を2つのアプローチで研究している。大腸菌
Posted On 06 10月 2015
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JS15-2:

富栄養・貧栄養連続培養系における鉄制限Microcystis aeruginosa細胞特性と増殖応答

藤井 学 東京工業大学 鉄制限の連続培養系において淡水性ラン藻類Microcystis aeruginosaを培養し、細胞増殖、鉄細胞内含量、鉄摂取速度などの細胞応答を調べた。特に本研究では、鉄以外の栄養塩状態の影響も評価するため、富栄養・貧栄養条件における培養を行った。具体的には、鉄以外の栄養塩が十分に存在し最適増殖が可能なFraquil(富栄養Fraquil)、ならびに鉄以外の栄養塩も増殖を制限するFraquil(貧栄養Fraquil、特に硝酸やモリブデンが低い)の栄養塩濃度が異なる二つの淡水培地を用いた。両培地において、鉄細胞内含量は希釈率とともに増加し、D
Posted On 06 10月 2015
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JS14-2:

温室効果ガス削減:牛ルーメンからのメタン発生とその削減に向けて

小林 泰男 北海道大学大学院農学研究院  ウシに代表される反芻動物は、上部消化管に複胃を有し、中でも第一胃(ルーメン)に多様な微生物群を形成することで、摂食した繊維質の分解を微生物にゆだねている。この嫌気的ルーメン微生物発酵下では代謝性水素の主要処理物としてメタンが生成される。可燃ガスであるメタンはあい気(ゲップ)として体外へ放出されるため、飼料エネルギーの損失となる。過去半世紀にわたり、もっぱら飼料エネルギー利用効率改善という視点で反芻家畜からのメタン低減が研究対象になってきた。ところが、メタン低減は近年の温暖化論議の中で大きな注目を集めるようになった。その理由
Posted On 06 10月 2015
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JS13-2:

有用細菌の植物組織局在性から見た接種法の提案

大和田 琢二 帯畜大・食品科学  有用な微生物群が植物を健康に育むという視点は、安全安心で持続的な農作物生産を考える上で重要である。しかし、接種菌が植物に定着せず期待する効果が得られない問題があった。そこで、十勝の代表作物(バレイショ、テンサイ)から菌叢解析による定着性の情報と植物接種試験の結果から選抜した有用細菌を標識・可視化し、植物組織局在性と生理・生化学的特性に基づいて効果的・安定的な接種法を検討した。 レポーター遺伝子の導入や細胞染色法の最適化により、バレイショ有用細菌4株(Alphaproteobacteria T168株、Betaproteobacte
Posted On 06 10月 2015
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JS12-2:

ファージと獲得免疫システムCRISPRの割り切れない関係とその生態学的意義

丸山 史人1, 渡辺 孝康2, 野澤 孝志1, 中川 一路1 1京都大学, 2東京大学  細菌においてclustered regularly interspaced short palindromic repeat (CRISPR) は、外来因子に対する獲得免疫機能を持った反復配列である。ところが、相反する機能をもつはずのプロファージ内にCRISPRが入り込んだものが、限られた細菌種において発見されているが、その生物学的意義は不明である。 本研究では、CRISPRを保有するプロファージに系統学的普遍性があるかを、入手可能な細菌・ウイルスゲノム、メタゲノムにて調べた
Posted On 06 10月 2015
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JS11-2:

たんぽぽ計画:国際宇宙ステーションでの微生物採集・曝露実験

横堀 伸一 東京薬大学・生命・応用生命  地球外天体に生命やその痕跡を探す研究・探査が近年盛んに行われるようになって来た。また、微生物の宇宙空間曝露実験による生命の宇宙空間での生存可能性の検証が行われてきた。これらの研究の進展に従って、宇宙空間を(微)生物が移動する可能性、「パンスペルミア仮説」、もまた再考され、そのようなパンスペルミアがそもそも可能であるかを検討する研究が進められてきた。 我々は、ISS-JEM(国際宇宙ステーション・日本実験棟)曝露部上での微生物と生命材料となり得る有機化合物の天体間の移動の可能性の検討と微小隕石の検出および解析実験を提案した[
Posted On 06 10月 2015
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JS10-2:

アミノ酸の窒素同位体比からみる食物連鎖

大河内 直彦, 力石 嘉人 海洋研究開発機構 生物地球化学研究分野  窒素安定同位体比は,食物連鎖を知るツールとして用いられてきた。これは,15Nが食物連鎖にともなって平均3.4‰ずつ生体中に濃縮していくという経験的な知見を基礎としている(Minagawa and Wada, 1984)。20種類のアミノ酸が生体中に含まれる窒素のおよそ8割を占めることから,食物連鎖にともなう15Nの濃縮とは,代謝の過程でアミノ酸がもつアミノ基に15Nが濃縮することであることは予想される。私たちのグループでは,アミノ酸窒素同位体比の正確かつ迅速な測定法を確立し,様々な生物試料を分析
Posted On 06 10月 2015
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