P21-6 : フローサイトメトリーによるハイスループット菌数測定法の開発
Posted On 20 10月 2014
Comment: Off
1九州大学大学院 生物資源環境科学府 生命機能科学専攻 分子微生物学・バイオマス資源化学コース 土壌微生物学研究室, 2九州大学大学院 農学研究院 研究教育支援センター, 3, ,
[背景・目的] 環境水系の微生物群集構造解析を行う際、DNAを抽出するため大量(5~10 L)試料中から菌体捕集する必要があるが、一般的に試料を採取した後研究室等に持ち帰り器材を使用しなければならない。一方菌数測定には現在、蛍光試薬と してSYTO9及びPropidium iodide(PI)を用いた二重染色(LIVE/DEAD®)による蛍光顕微鏡観察(Direct count法)が行われているが、作業効率等に課題がある。フローサイトメトリー(FCM)は簡便かつ短時間で菌数測定が可能であるが、 LIVE/DEAD®を用いてFCMによる環境水中の微生物菌数測定を行った報告は少ない。そこで本研究では、簡便な菌体捕集・DNA抽出法及びFCM菌 数測定法の確立を目的とした。
[方法・結果] 環境水1 Lを採取地で手動シリンジにて前ろ過・本ろ過を同時に行い、回収した本ろ過フィルターを研究室にてPowerwater Sterivex DNA Isolation kitを用いてDNA抽出を行った結果、370~410 ngのDNA量を採取でき、16S rRNA遺伝子断片のPCR増幅を確認できた。次にEscherichia coli 懸濁液を対象とし、無染色、SYTO9及びPIによる二重染色を行いFCM(EC800)に供した。その結果、全菌を染色するSYTO9の蛍光強度は大き く、明確な集団を示したが、死細胞を染色するPIの蛍光強度は小さく、明確な細胞集団を示さなかった。さらにSYTO9及びPIによる単染色を行った場合 も同様の結果となった。よって、PIはFCMによる菌数測定には不適切であることが明らかとなった。さらに、E.coli懸濁液と環境水 試 料を用いてSYTO9による単染色を行い、FCMとDirect count法における菌数を比較した結果、ほぼ一致した。以上の結果、蛍光色素にSYTO9を用いた本法はFCMによる全菌数測定に有用であった。今後は 本法の環境試料への応用を検討するとともに、PI以外の死菌染色蛍光試薬を用いたFCMによるハイスループット生・死菌数測定法の開発を目指す。
keywords:フローサイトメトリー,蛍光染色,菌数測定,,